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『死と身体-コミュニケーションの磁場』・・・こんなに眠いのには理由があった。

『死と身体-コミュニケーションの磁場』 内田樹(医学書院)
死と身体―コミュニケーションの磁場 (シリーズケアをひらく)

確か、3年前位に読んだ本。 

本棚を整理していたら出てきて、そういえばこれ結構面白かった記憶があるなぁとパラパラめくってみたら、何箇所かDOG-EARが。

内田樹が、さまざまな人の発言を引用しながら、身体性の重要性だとか、身体と言葉との関連だとか、言葉の含有するさまざまな矛盾だとかを解きほぐしていく(ようでいて複雑化させている?)本。(だったハズ。)

「オレのこと好き?」という問いに対して、「友達としては好きだけど、男として見たことないから」という場合には「うん、好きよ」。「異性として好き」という場合には「……うん、好きよ」と、こちらの場合は「……」というわずかコンマ何秒のためらいが入る。つまり、わたしたちは、問いかけに対する回答のわずかな遅速の差によって、それがエロティックな言明か非エロス的な言明であるかを識別しているのである。(中略)新語があふれるほど発明されているのに、どうして「好き」のような、語義解釈の間違いがときに死活的に深刻な帰結をもたらす語についてだけは新語の創造をどなたも提言されないのか?
 ここにはどうやら人間存在の根本にかかわる重要な問いがひそんでいるように思われる。私はこの問いを次のように定型化してみたいと思う。
 人間はどうして、わざわざ話を複雑にするのか?



というくだりから始まる本書、学校では教えられないが非常に重要である身体性 (たとえば、頭だけで書かれた言葉はつまらないこと、歯切れの悪いシャイな子は脳に蓄積されただけのストックフレーズを口に出すのを身体が拒否ている正しい反応であること、ハイデガーなんかの難解なテクストを読む際はとにかく文体が身に着くまで繰り返し読むのが重要であり意味は身体理解の後に見えてくること…等々) についての説明から入っていき、死者(死んだあとの私)についての考察まですすんでいく。

身体性の重要性って、はっきり言葉にしなくても、うすうすみんな気づいているんじゃないかな?
私は大学ドロップアウト気味だったのだけど(まぁそこは要領のよさで乗り切りましたけどね)、その根底には身体性の欠如に対する違和感、のようなものがあった気もする。社会人になった今も、身体性の大切さはよく感じる。やっぱり、世論が動く論理って、そうは見えなくても身体性に裏付けされてるよね。

なんかごちゃごちゃ難しそうだけど、講演の内容をまとめているのでそんなに難しくなく、面白い。うん、面白かった(確か。もっかい読みなおそう)。


で、DOGEARがあった箇所ですけどね。
人の話を聞いていて眠くなるのは、それが命をすり減らす経験だということを本能レベルで気づいていて、ある種の仮死状態に入り込んでいるのだ、というくだり。

そうそう、そういえば私、仕事中でも会議中でも、いつでもどこでも眠くなってしまうので、なんとかそれを論理的に説明しよう(ごまかそう)と必至なんだった、あの頃。
眠ってしまうのは、れっきとした病気です、と言わんがために過眠症について色々調べたりしてなぁそういえば。なんて阿呆なんでしょう。ま、結局上司を納得させるのには失敗したんですけども。

by yebypawkawoo | 2008-02-24 23:42 | ◆本のこと  

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