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『フロム・ダスク・ティル・ドーン』これホラー?思わず爆笑のこのセンス。

フロム・ダスク・ティル・ドーン [DVD]『フロム・ダスク・ティル・ドーン(From Dusk Till Dawn)』ロバート・ロドリゲス(1996)
2010年4月23日鑑賞


私は、血を見るのが嫌い、というか生理的にダメ。背中がぞぞぞぞっとして、悪寒が走って自分で痛みを感じちゃうタイプの人間なのです。なので、タランティーノさんの映画、面白いとは思うんだけど、ほら、耳切り取っちゃったりとかさ、そういうシーンを直視できないわけです。

で、今回こちら。もう最初から血まみれだもんで、ギャーギャー騒ぎっぱなしだわ、目を覆いっぱなしだわでどうなることかと思いきや。途中から一変、大爆笑(いや、血みどろは変わらないんだけど)。そうかそう来たか、さすが、ですね。

映画を見るとき、ストーリーを現実的に考えちゃう私は、「いやいやだったら皆十字架もってたらいいんちゃうのん?」とか、意味のない(この映画においてはまったくもって何の意味もない)突っ込みを入れつつ、最後の女の子の行く末についてわりと本気で想像しつつ(「あんな血みどろの服で、家族もなくして、どうやって生きてくの?まずはスーパーで怪しまれずに服を買うには?」とか)、それなりに楽しめました。

個人的に好きだったのは、最初の酒屋で主人が銃で撃たれたのち焼身させられるシーンにて、火にあぶられたコーン(ポップコーン)がばちんばちんはじけていたところ。なんて細やかな演出でしょうか。感服。
(でもやはり、血は嫌いなので★ひとつ)。
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by yebypawkawoo | 2010-04-24 03:09 | ◆映画のこと  

『ぼくを葬る』・・・孤独に対峙する強さを想う

ぼくを葬る [DVD]『ぼくを葬る(おくる)』フランソワ・オゾン(2005)
2010年4月20日鑑賞


これは、すばらしい映画だと思った。少なくとも私は、フランソワ・オゾンの作品の中では一番好きだ。個人的なツボをつかれて、心臓がぎゅんとした。

これは、メルヴィル・プポー演じるロマンが、余命3カ月を宣告されてからの時間をたんたんと描いていく映画。素晴らしいのは、彼がひたすらに自分に向き合っていく、そのさまを描く表現に、描写に、余計な説明が一切ないことだ。ただただ彼の行動を追っていくだけ。しかし、その行動に、彼の心情がきっちりと描き出されている。

メルヴィル・プポー(ロマン)は、祖母ただ一人を除いて、自身の病気に対する一切の説明をしない。その強さを想う。果たして私が余命3ヶ月と宣告されたとき、他人に何も言わずに一人で受け止めるという選択をとることができるだろうか、と思う。しかし、そうありたい、とも思う。そうあることの傲慢さをまた一方で知りつつも、しかしそれが美しいと私は感じるから。

自分自身に向き合うことは、自分の過去にも向きあうことであり、自分の感情にも、その源泉にも向き合うことだ。そしてそれは、結局は個人の物語でしかないのだ。ラストシーンで、はっきりとそのことを悟る。ビーチで遊ぶ若者・子供たちと対比で描かれるメルヴィル・プポー(ロマン)に、その残酷なまでの孤独を感じる。しかし、あまりに美しいシーンでもある。生きるとは、自分の孤独をいかに消化し、昇華させるか、自分の中で折り合いをつけられるかどうか、なのだという気がする。私は自分の物語をきちんと読み切ることができるのだろうか。この本を閉じていてはいけないのだと焦燥感が募る。

それにしても、やっぱりメルヴィル・プポーは、いいなあ・・・。
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by yebypawkawoo | 2010-04-20 21:22 | ◆映画のこと  

『ブロークン・イングリッシュ』・・・これは、女の子の夢見る物語ですなあ。

ブロークン・イングリッシュ [DVD]『ブロークン・イングリッシュ』 ゾエ・カサヴェテス(2007)
2009年9月19日鑑賞


この映画は、

ノラ・ワイルダー(パーカー・ポージー)、30代、独身。ニューヨーク在住。マンハッタンにあるホテルのVIP対応として働いている。
母親のヴィヴィアン(ジーナ・ロランズ)からは、ことあるごとに心配され、親友のオードリー(ドレア・ド・マッテオ)は。自分の紹介した男性と結婚している。
男性とつきあおうとしてもなぜかうまくいかない・・・。(映画紹介文より)


という彼女が、情熱的な年下フランス人ジュリアン(メルヴィル・プポー)と出会って、恋に落ちる話です。

これはねー、女の子は好きでしょう、きっと。というお話でした。ジュリアンがさー、かわいいの。こんな男の子に強引に来られたら、そりゃあね、仕事も捨ててフランス行きますよね。と思う。
でも、現実にはこんな格好良い男の子に言い寄られたりしないし、そうだとしても、啖呵を切って仕事をやめたり、そのまま彼の後を追って異国にいくことなんてできないだろうし、映画の中での予定調和な偶然だって、それは映画だから起こりうるわけで・・・、と思う。と思いつつも、あー、なんだろ、このキュンキュン感。これは女子の夢だよなー。まんまとはまったわたくしです。

映画の中の母親のセリフに、こんなのがある。
「今の女性は大変ね。チャンスや選択肢も増えたけど、多すぎて選べないの。」

このセリフにうなづいてしまう女子は、きっとこの映画が好きだと思う。
私が最近仕事でかかわったある女性医師(臨床であらゆる年代の女性&不定愁訴系を沢山見ている)が言っていたのだけど、“女性はどんな選択をしても、そうしなかった自分への未練を捨てきれないし、後悔してしまう人が多い”のだとか。

1.結婚するのか、しないのか。
2.仕事は続けるのか、家庭に入るのか。
3.子供を産むか、産まないか。

1は2に直結していて、2は3につながっている。3は、生物学的にリミットがあって、そこから逆算すると1にもどってくる。だから女性は結婚をしたがるのですね。


映画の中の話。「結婚したいの?」と聞かれて、 「そう」、と答えた主人公に、「結婚はただの契約よ、愛するということとは別物だわ」、というようなセリフがあって、そうだよねー。と思う。人を愛することと結婚は別物。じゃあ結婚ってなんでするんだろうね。

私の周りの女子たちは、最近わりと結婚を焦っている、というか、結婚願望が高まっている。30までに結婚したい、というある種慣習的な、「だってそういうもんでしょ、みんなそうだから」というような、私が忌み嫌う、“それって理由になってないじゃん”、を理由としている人もいるのだけれど、でも、3の子作りの生物学的リミットをかんがえると、これはこれであながちただのイメージだけではないのだ。
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by yebypawkawoo | 2009-12-13 22:35 | ◆映画のこと  

『バタフライ・エフェクト』・・・“選択する”ということを、もっと意識して生きようと思う

バタフライ・エフェクト プレミアム・エディション [DVD]『バタフライ・エフェクト』 エリック・ブレス/J・マッキー・グルーバー(2004)
2009年2月16日鑑賞


パッケージのイメージで、なんとなく怖い話なんじゃないかと思って、敬遠していました本作。友達のお勧めだったのを思い出し、思い切って借りてみました。ら、これが面白かった。

人生は、一瞬一瞬が選択なんだなぁと改めて思う。一瞬の決断が、その後の人生を変えうるわけで、その一瞬がどの瞬間に訪れるかはわからない。それは、神の視点に立たない限り、いつまでたってもどこまでいってもわからないわけで、私の人生において私自身が神になることはできないわけだから、つまり一生わかりえない。

でも、本作の主人公エヴァン(アシュトン・カッチャー)は、その一瞬に立ち返ることができる。過去を修正できる、そのことに気づいた彼は、自分の過去をどんどんやり直していく。だけど、選択をしなおしたら人生は幸せになるかというと、決してそんなことはなく、彼の人生はどんどん思惑とは異なる方向へころがっていくわけです。たとえば、コピーを書いているとき。何か違うなぁと思い、途中の文章を書きなおす。すると、つながりがおかしくなり、直せば直すほど文章が変になって、結局全部直す羽目になり、しまいには何が良いんだか何を書きたかったんだかわからなくなって、わーっと投げ出したくなるあの感じ。に似ていると思った。そういう時は、いったんそのコピーから離れて、別の作業をしたのち、戻ってくるとうまくいくことがわりと多いんだけど、人生ってのはそれができないんだものね。

エヴァンは果たしてこれから、どんな人生を送っていくのだろうかとふと思う。選択しなおせる人生ってのはは、幸せなものなのだろうか。作中では、エヴァンは一人の女性のために自身の過去を修正していき、そして訪れるエンディングは純愛に近いものがあると思うけれど、一見綺麗な面構えのそれは、突き詰めれば主人公の自己満足あるいは自己保身に行きつくのでははないかとも感じる。自分の選択で彼女の人生をめちゃくちゃにしてしまうことへの重責に彼は耐えられなかった、そういう側面もあるよね、きっと。

エヴァンには修正可能であるが故に(そしてやり直し後の世界をしっていまったが故に)、一つの選択の重みが、実感値としてわかってしまう。しかし、修正し得ない我々(私)はその重みに気付かないままに今日も無邪気な選択を繰り返す。のです。
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by yebypawkawoo | 2009-03-22 02:51 | ◆映画のこと  

『ダークナイト』・・・何が狂気なのか、という問題。

ダークナイト 特別版 [DVD]『ダークナイト』 クリストファー・ノーラン(2008)
2009年2月7日鑑賞


わたし、バットマンを見るのは本作が初となります。
だから、ヒロイン・レイチェルと主人公・バットマンの関係も最初はよくわからず???でした。まぁ見ているうちにわかってくるからいいのだけど、これ以外にも、シリーズを続けてみていないてとわからない流れがいくつかあったのは、うーんなんだか残念。少なくとも、『ダークナイト』(原題でも、『The Dark Knight』。シリーズで本作だけタイトルにBatmanが入ってないでしょ)と銘打ったからにはさ、そこらへんをさ、もっと配慮してほしかったなぁ。

それから、ヒロイン・レイチェル(マギー・ギレンホール)が、かわいくなかったのが・・・かわいくなかったのが・・・なんだか盛り上がりに欠けた要因かしら、とも思う。レイチェルは、ある部分お話の肝でもあるわけで、肝に対する2人のヒーロー(バットマンとハービー)の思い入れの強さに現実味を感じられなかったですよ。だって、かわいくないんだもん。背景もわかんなかったしさ。

とまぁいろいろ文句たれつつ、それはそれとしてなかなか楽しめました。エンターテイメントとしては、面白かったよ。(ただ、『前評判が良すぎて期待しすぎてしまったかしら?わたし・・・。」という気になったのもまた確かではあるけれども)。


どこまでいっても、「正義」「誠実」「倫理的」であるバットマン、もといブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)と、最初は「正義」だったけれど「悪」へと転じてしまったハービー・デント(アーロン・エッカート)、そしてひたすらに「悪」であるジョーカー(キース・レジャー)の3者の構図は、狙ってるんだとわかりつつ面白い。ジョーカーは、心理的納得感をさそうような理由が用意されずにひたすらにただ「悪」としての役割を担っている。性悪説の具現というか。ジョーカーは、バットマンに「悪」側に落ちてほしくて、いろいろ画策するわけだけども、バットマンは「悪」的要素を一切拒否。けっ、そんな人間いるかよ、と思う私は、(個人的には3者の中で一番格好悪いと思う、だって自己憐憫で思想がぶれぶれじゃん、の)ハービーに一番近いのだろうか。けれど、理由なく「悪」道を邁進するジョーカーが、狂人であるというならば、理由なく「正義」道を邁進するバットマンだって、同じく狂人ではないか?と思います。(ひょっとしたら、何かすごい理由がシリーズ前半で明かされているのかしらん。)


そして全く関係ないけれど、わたし、ゲイリー・オールドマン結構好きかも、と気づいた。
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by yebypawkawoo | 2009-02-09 23:30 | ◆映画のこと  

『地上5センチの恋心』・・・こんな母は、いいと思う。

地上5センチの恋心 [DVD]『地上5センチの恋心』 エリック=エマニュエル・シュミット(2006)
2009年1月25日鑑賞


フランスっぽいなぁと思った。

フランスの映画って、演出がなんだかわざとらしく、それでいてかわいらしい印象を持っている。『世界で一番不運で幸せな私』とかもそう。この作品では、主人公オデット(カトリーヌ・フロ)の恋心の表現、邦題そのままのふわふわ地上から浮いてしまう描写なんかが、わかりやすく私の中でのフランスっぽさだ。

そして、もちろん恋愛。
アルベール・デュポンテルの演じる、人気作家バルタザール・バルザンは、恋愛(というか性愛?)への対峙の仕方が良くも悪くもあぁフランスという感じだったのだけど、そこでほっとさせるのがカトリーヌ・フロの演技と役柄。穏やかにたおやかに、ファンとしてのミーハー心を忘れず、バルザンに向き合う。うきうきしながらも、けれど芯は崩さない。そこがいい。自分の子どもにも好きな人にも、柵を乗り越えすぎない(おしつけがましくない)主観でもってつきあっている。私も、飄々とのらりくらりと、柳のようなたおやかさでもって様々かわしながら、けれどしっかり根は張っている、という風に生きたいなと、ふと思う。

そういえば、本作と前述の『世界で一番不運で幸せな私』には共通点があることに気づく。(
共に、フランス・ベルギー両国で製作されているという点もそうだが)ラストシーンの描き方、ラストで2通りの解釈を許しているという点だ。この手法も、なんだかフランスっぽい、と思ってしまう。だけど本作、どちらの解釈をとろうとも、フランスらしからぬハッピーエンドではないか。このほっとさせる演出が、またうまい。

※以上、フランス映画への偏見でもってお送りしました。
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by yebypawkawoo | 2009-02-07 02:13 | ◆映画のこと  

『シティ・オブ・ゴッド』・・・物語のリアリティ×映画としての凄さ

シティ・オブ・ゴッド DTSスペシャルエディション (初回限定2枚組) [DVD]『シティ・オブ・ゴッド』 フェルナンド・メイレレス(2002年)
2008年12月7日鑑賞


あっという間の130分。迫力ある映像展開。圧巻。時間軸の入れ替わる構成に、スピード感。凄い。

シティ・オブ・ゴッド(=神の街)と呼ばれるブラジルは貧民街の、発展(というのは掘っ立て小屋から立派なスラム街へという意味で)の様を背景に、そこに生きる人々を、殺人・ドラッグ・銃撃戦・リンチ・レイプ等の日常をセットに描き出す。

語り手は、シティ・オブ・ゴッドを抜けてカメラマンになろうとする青年、ブスカペ。彼の目を借りて、貧民街の内側からの視点で描かれたブラジルだ。撮影には実際のスラムに暮らす少年たちを起用したという。物語は事実を基にした話だというところが、更なるリアリティを生む(現実の映像が挿入されるところで、はっとする)。原作もさることながら、この世界をここまで描ききった監督は凄いと思う。

このリアリティの中で感じたこと。それは、同じように生まれ同じように育っても、一方はカメラマンに(あるいは、バスの運転手でも何でも良いが)なってシティ・オブ・ゴッドを抜け出そうとし、他方はギャング団に入り街の頂点に立とうとする。その差はいったい何から生まれるのだろうか?ということだ。それまでの経験?親からの教育?それとも、もって生まれた人の性質や性格なのか?

同じ経験をつんでも、人が違えば進む方向は異なる。どうせなら、みんながハッピーになる選択が良いに決まっている。けれど、こういうある種の極限状態が日常であったとき、私はどういう人生を歩んでいこうとするのだろうか。たらればなんてありえないけれど、ふと考えてしまった。
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by yebypawkawoo | 2008-12-30 00:17 | ◆映画のこと  

『BLOW』・・・どこかありきたりだと思ってしまったのは、私だけだろうか。

ブロウ [DVD]『BLOW』 テッド・デミ(2001年)
2008年12月7日鑑賞


会社の女の子が一番好きな映画としてあげていた本作。ファッション好きで、ちょいモードが入った、配色は基本黒なんだけど、髪の毛巻くのとばっちしメイクは毎日かかさない。そんな子がものすごくいい、格好いい!って言うから見たくなった。ペネロペでてるし前から気にもなってたし。

アメリカで麻薬王と呼ばれた一人の男の半生を描いた作品。ちょっとしたお小遣い稼ぎからなりあがっていき、訪れる栄光、そして転落の人生を、ジョニー・デップが演じている。

中盤までは好きだったなぁ、なんだかちょっとぽってりした質感の、ちょうどポラで撮った写真のような映像が頭に残っている。アメリカ西海岸の、うかれたリゾート風景。うっひゃーい!楽しそうっ!大麻をさばきはじめた主人公の勢いもよかった。猪突猛進ななんとでもなるさ的な。

ただ残念なのは中盤以降。人間の意地汚い駆け引きとか、終盤に子供への愛に目覚めるところなんかで、勢いが削がれていく。大人になる(現実に呑まれるというか)様がストーリーとしてはありきたりだなぁと。事実がベースなので、仕方がないのだろうけれど、やっぱりそうなってしまうか、そうか、そうだよね、となんだかがっかりしました。想像ができてしまう展開というかな、そういう意味でね、がっかり。

一人の男の人生として、事実だといわれれば、凄いなぁとは思うけれど、あまり響かなかったのは、もしかして視点のせいかな、とも思う。三人称で進む話だが、主人公の思想や背景がよくわからなかったし、そのせいかいまいち入り込めなかった。これであれば逆に最後まで破天荒な、いいじゃんなんでも楽しけりゃー、っていうノリでつっきって欲しかった。 そういうどこかふきっちゃったような人の人生には興味がある。
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by yebypawkawoo | 2008-12-15 01:01 | ◆映画のこと  

『ラスト、コーション』・・・偽りの中で生まれてしまった愛情も、本物だと思う。

ラスト、コーション『ラスト、コーション』 アン・リー(2007)
2008年9月21日鑑賞


『ラスト、コーション』で描かれるのは、トニー・レオンとタン・ウェイ演じる二人の、恋愛ごっこだ。二人の間にあるのは、異様な状況から生まれた仮初の恋愛だ。だけど、壮大で真剣で命がけなそのごっこ遊びの、嘘くささの中に飲み込まれていく二人の間には、確実に愛が存在したのだと思う。偽りの愛だったのだとしてもそれはそれそれとして本物だ。

恋愛は、その状況に酔っていく、というようなところがあると思う。なにも変わり映えしない平凡なシチュエーションが続くという状態では、長続きしないんじゃないだろうか。自分と相手の二人では成り立たなくて、自分と相手とそれを取り巻く状況の3者があってこそ成り立つ。状況が、非常であればあるほど、興奮は大きくなる。

恋愛は、執着だと思う。相手に対する執着心が、恋愛の興奮をさらに助長するのだと思う。そして執着は思い込みだ。自分を非現実の妄想の世界へと追い込んでいく、その過程が狂気だ。だけど、穏やかな恋愛こそが最高だ、なんていう人を私は信じない。表面上穏やかでも、内心に狂気をはらんでしまうのが、本物なんじゃないかという気がする。人は、恋愛初期のときめきが7カ月しか持続しない、という話を聞いたことがある。毎日晴天の恋愛ならば、さもありなん。穏やかに見えても、内情は怒涛の嵐だという状況が、恋愛を長続きさせるんじゃないかだろうか。

その上で、恋愛に常に必要なのは、客観的視点だ。そんな暴風雨に飲み込まれている自分を、雲上の安全地帯から眺めるもう一人の我を常に持っていたい。そして、相手に接するときは、雲上の自分を持ってくるのだ。内に嵐を秘めた状態で。時に決壊する堤防は、もしかしたら、大地に肥沃をもたらすという意味で重要な場合もある。雨降って地固まるとはよくいった話。

『ラスト、コーション』は恋愛ドラマだ。トニー・レオンとタン・ウェイの二人が演じる男女の、駆け引きと、嵐と、堤防の決壊を描いた物語だ。二人はその異様な状況に、それぞれ確実に酔っていたし、だからこそあれだけの激しさで惹かれあったのだと思う。雲上からそれぞれを見落ろしているつもりで、気付かないうちに落下していたのはお互い様だ。ラストの、宝石屋さんでのシーン。そこでお互いが、嵐の中に落ちていたことに気づいてしまうのだ。切ない。

タン・ウェイの、強い信念を持って一途に職務を全うする中で植えつけられた憎悪と、それに抗うように無意識に発生してくる愛情との駆け引き。そしてトニー・レオンの抱える圧倒的な虚無感や冷徹さと、非常に純真無垢ともいえる愛情との対比。凄い。その軸を支える、細かな描写もうまいなぁと思う。二人の絡み合うシーンや、女たちの麻雀シーンや。話題となったベッドシーンも、厭らしさは感じなかった。痛々しく、美しかった。
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by yebypawkawoo | 2008-10-15 23:49 | ◆映画のこと  

『Vフォー・ヴェンデッタ』・・・マンガ的世界に感じた、現実味。

Vフォー・ヴェンデッタ 特別版『Vフォー・ヴェンデッタ』 ジェームズ・マクティーグ(2005)
2008年9月23日鑑賞


見終わっての感想は、「面白く(interest)読み応えのあるマンガを読んだ後みたい」。内容の濃い漫画って、読み終えたあとものすごい充足感があったりするじゃない。そういう感じ。

聞けば、原作は漫画だそうで、どうりで。けれど、原作漫画の映画って、実はわたくしあまり面白い(funではなくinterestね)と思ったことがない。スパイダーマンもそこまで来なかったのですよね。たぶん、設定が非現実的なところがネックとなり、“あり得ない”話前提として見てしまうから?かなぁ。そんな私をもってして、面白いと思ったこの映画。理由は何でだろう?と考えて、それは、全体主義対個人主義の構造に共感したからなのかもしれない、と思う。

強い信念を持ち続けられる人には、それが正しいか否かは別として、私は尊敬の念を抱くのだが、そういう意味ではVは凄い。自分の意思が明確でそれが揺らがない。その彼に触発されゆく国民たち。国家が正しいのかVが正しいのか、あるいは両方間違いなのかは、その時代時々で違うし、だから最後の国民の行動に感動はしないのだけど、ナタリー・ポートマンにはなんだか感じ入った。(たぶん、もともと彼女が好きだから、というのは大きな理由、とはいえ)彼女はVを批判もするし、自分で考えて意思を持って動いている。

ひとりひとりが何の意思をもつか、なぜその意思をもとうとするのかが重要だと思うのです。与えられた境遇を前提として受け入れるのではなく、そこに疑問を呈することができるか否かだと思うのです。そうじゃないと、国会議事堂爆破後の世界だって、たいして変わりはないんじゃないかと思うのよね。
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by yebypawkawoo | 2008-10-06 21:30 | ◆映画のこと