『本格小説』・・・一気に小説世界に引きづり込まれる、久しぶりの感覚。

本格小説〈上〉 (新潮文庫)『本格小説』 水村美苗(新潮文庫)
2008年9月23日読了


素晴らしい小説だった。一気に読んでしまった。そして、全く読み終わりたくなかった。先が早く知りたいけれど、まだ終わってほしくない。こういう気分になったのは、本当に久しぶり。小説って、こういうものか、こういうものだったのか、はぁぁ素晴らしいね、って誰かに伝えたい気分。

―頭の中に「本格小説の世界」っていう小部屋ができたみたいな読後感。

いしいしんじが『三崎日和』の中で、本書についてそう語っていたが、うまいこと言うなあと思う。本当に、小部屋ができた、私の頭の中にも。

『本格小説』は、ひとつのくくりでは説明しきれない。カテゴリに納まりきらない。いろんな側面を併せ持った、細やかで大味な、セピア色だけど新しい、そういう小説だ。これはまぎれもない純文学で、読むと価値観を揺さぶられるような奥深さがある。けれど、エンターテイメント小説でもあって、話それそのものとしての面白さを十二分にあわせもっている。そして、日本語がすばらしく美しい。いい意味で古風な、昔からの日本語の美しさだ。と同時に、全く新しい小説でもあって、壮大なフリ、実験的試みがなされている。

この小説ははたして私小説なのか?どこからどこまでが本当で、いや、それとも全くのフィクションなのか?そんな疑問がわき起こってくる。けれど、その疑問の答えはどうでもよくて、そう思わせた時点でこの小説の、水村美苗の勝ちだ。それは、この小説にほどこされた仕掛けだけではなくて、圧倒的な筆力と壮大な物語性に裏付けられているのではないかと思う。うにゃあ素晴らしかった。拍手。
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# by yebypawkawoo | 2008-10-09 23:52 | ◆本のこと  

うわぁ気持ちよさそう。

すごいものを見た。

東横線自由が丘駅のホームから改札に降りる階段の中腹で


下に向かって放尿する男性。

と、みるみる流れ落ち広がっていく水?たまり。


人間、酔っぱらうとこんなこともできちゃうんですね。
複数の駅員さんに見守られる中、
きっちりしまうものしまって、ベルトを締めて、
さぁ連れて行かれるかと思いきや。
駅員さん、そのまま放置プレイ。

彼のためにも、このまま我に返らないことを祈る。
アメン。
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# by yebypawkawoo | 2008-10-08 01:20 | ◆日々のこと  

そうだ、エイズ検査へ行こう。

以前の職場の後輩の男の子は、
かつてHIVポジティブの女の子と付き合っていた。

セックスとかどうするの?と不躾な質問を投げかける私に、
普通にしますよ、と答える彼。
そりゃ、最初は怖かったけれど、正しい知識があれば大丈夫です。
でも、検査は3回受けましたけどね。感染はしませんでした。

それから色々、エイズについて教えてくれた。
いわく、日本には感染していることに気付いていない人がものすごく多いんだ、と。
「少しでも、感染してないと言い切れないのであれば、絶対検査受けたほうがいいですよ。」

絶対感染してません、なんてちっとも言い切れない私は、
なんだか恐ろしくなって、すぐに検査機関を調べた。

最近は、地方での中高年の感染者が増えているんだそうな。
閉経後のゴムなしSEXと、ザ・閉鎖空間=田舎のご近所の目がその原因なんだとか。
閉経後のゴムなしセックスって、なんだか生々しくって異様に現実味あふるる感じ。

突然前の恋人から電話がかかってきて、
「性病検査でひっかかったから検査したほうがいいよ、じゃ」
と言われたことのある友人の話。
最初は、はぁ?と思ったけどすぐに検査にいったそう。
うつされたれたのは迷惑だけど教えてくれてありがとう、だそう。

待合室で、結果を待つ。
もしも自分が感染していたら?どうするんだろう?
なんて、やっぱり考える。
いつ?誰から?誰に言う?誰かに言える?
結構真剣に考える。
これから私はどうやって生きていくんだろう。

交通事故で明日死ぬ可能性が普通に存在する毎日との対比を思う。
こういうことでもないと、考えることってなかなかない日々のありふれた生活。

人間自然淘汰説を無責任に語ってしまう私だけど、
それが個の問題となるとやっぱり違う考えを持つ。
矛盾しているわけではなくて、本当にそう思うのだ。個とマスは話を語る世界が違う。

舞城王太郎の『好き好き大好き超愛してる』を、もう一度読みたくなった。
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# by yebypawkawoo | 2008-10-07 00:02 | ◆日々のこと  

『Vフォー・ヴェンデッタ』・・・マンガ的世界に感じた、現実味。

Vフォー・ヴェンデッタ 特別版『Vフォー・ヴェンデッタ』 ジェームズ・マクティーグ(2005)
2008年9月23日鑑賞


見終わっての感想は、「面白く(interest)読み応えのあるマンガを読んだ後みたい」。内容の濃い漫画って、読み終えたあとものすごい充足感があったりするじゃない。そういう感じ。

聞けば、原作は漫画だそうで、どうりで。けれど、原作漫画の映画って、実はわたくしあまり面白い(funではなくinterestね)と思ったことがない。スパイダーマンもそこまで来なかったのですよね。たぶん、設定が非現実的なところがネックとなり、“あり得ない”話前提として見てしまうから?かなぁ。そんな私をもってして、面白いと思ったこの映画。理由は何でだろう?と考えて、それは、全体主義対個人主義の構造に共感したからなのかもしれない、と思う。

強い信念を持ち続けられる人には、それが正しいか否かは別として、私は尊敬の念を抱くのだが、そういう意味ではVは凄い。自分の意思が明確でそれが揺らがない。その彼に触発されゆく国民たち。国家が正しいのかVが正しいのか、あるいは両方間違いなのかは、その時代時々で違うし、だから最後の国民の行動に感動はしないのだけど、ナタリー・ポートマンにはなんだか感じ入った。(たぶん、もともと彼女が好きだから、というのは大きな理由、とはいえ)彼女はVを批判もするし、自分で考えて意思を持って動いている。

ひとりひとりが何の意思をもつか、なぜその意思をもとうとするのかが重要だと思うのです。与えられた境遇を前提として受け入れるのではなく、そこに疑問を呈することができるか否かだと思うのです。そうじゃないと、国会議事堂爆破後の世界だって、たいして変わりはないんじゃないかと思うのよね。
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# by yebypawkawoo | 2008-10-06 21:30 | ◆映画のこと  

たとえば、コンパで出会った人の友達が、自分の友人でもあった時の親近感。

新宿ジュンク堂の保坂和志フェアにいかねば。

たまに本屋さんでやっている、作家の本棚再現企画。あれは面白いと思う。

わたしには悪癖があって、どんな本を読んでいるかで、ある程度その人の人となりを判断してしまう。それだけじゃあ何もわかりはしない、とわかっていながらほぼ無意識にやってしまう。(でもこの感覚、ある程度の読書家であればたいていわかってくれるんじゃないかしら)

そんな私は、恥ずかしいので自分の本棚は人に見られたくない。「へーこういうの読むんだ。ふ~ん。何かわかる気がする」なんて言われた日にはもう、恥ずかしさのあまり一発殴りたくなる。(自分はよく言ってる癖にね)でも他人の本棚覗く時は別。嬉々として観察の悪趣味万歳。

で、作家フェア。
ただの知人の本棚みるだけでも内心わくわくなのに、いわんや、である。自分の影響を受けている作家の読んでいる本達。前提が好意的だから、え(濁点)?な本があってもたぶんがっかりしない。本人が“作者”であることが、わくわくに拍車をかける。なぜなら、そこには我が家の本棚の先にひろがる世界がある。気付いていなかったつながりが見えるに違いなく、二重構造の面白さがある。

私は知らない町を迷子になりながら散歩するのが好きで、それは、それまでただの風景でしかなかったものが立体として浮かびあがってくる変化が面白いからだ。外部は変化しておらず、変わったのは私の意識、内面だけ。そういう、意識的世界でのつらなりや変化で私の世界は成り立っていて、それが他人の意識的世界とリンクしていく感覚。

共感、というのは恋愛における重要なファクターのひとつだと思うのだけど(だから恋愛初期はいかに共感を演出するかが鍵だよね)それと同じ楽しみが読書にはある。主観の客観化による共有。連なっていけば、全然違う価値観をも共有しているかもしれない。

そういうわけで、新宿へ行こう。10月31日まで。
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# by yebypawkawoo | 2008-10-06 17:58 | ◆考えたこと  

感情で始まり、理由は後づけ。

なんだかんだ、理屈を並べてみたところで、
結局、物事を決断する理由は、自分の感情=嫌か嫌じゃないか。でしかなかった事に気づいた。
最もらしい理屈は、理不尽でただの感情論に過ぎない本当の理由を
いかにそれっぽく見せ、相手(と自分も)を納得させるか、のための技術にすぎない。
嫌なものは嫌だし、好きなものは好きだし、そこに理由なんてない。
あるのは、それを説明するための技術的理論。技術である以上、磨けば上達するのかしらん。
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# by yebypawkawoo | 2008-10-05 23:29 | ◆考えたこと  

『つぐない』・・・原作のある映画って、本で読んじゃうんです、大抵。

つぐない『つぐない』 ジョー・ライト(2007)
2008年9月21日鑑賞


イアン・マキューアンの原作、『贖罪』を未読なまま鑑賞。
あらま、これって私にしては珍しい。
というのも、昨日ふと気付いたのだが、
私は原作がある作品は、本で読むほうが好きだったりするのだ。
映画を、音・映像のある3Dという意味での映画として楽しむというよりは、
お話・物語として楽しんでいる部分が多いご様子なのです。
本は、勝手に想像してしまえるから、
自分の好きなように世界を作れちゃう部分が大きいもんね。
妄想っ娘としては、こっち(活字オンリー)のほうが、楽しいのかも。

それはともかく、この『つぐない』。
原作未読で挑んでなお、
映像からやっぱり英文学、ブッカ―賞、という雰囲気が漂ってくるのはなぜだろう。
監督が意識してとったのか、イアン・マキューアンの持つ力なのか。
すんばらしい再現力(あるいは、創造力)。
私の好きな種類の世界感、映像美、ではないけれど、これはこれで美しい。
キーラ・ナイトレイも美しい。ほんと。

妹の些細な嘘と戦争によって引き裂かれる、
姉(キーラ・ナイトレイ)と、彼女たち一家の使用人の息子との恋愛物語。
でもただの恋愛物語ではなかったことがわかるラスト、
を見て初めて、おぉ。いいお話じゃあないか、と思いました。
映像よりも、そのお話力に、評価。
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# by yebypawkawoo | 2008-09-30 00:33 | ◆映画のこと  

『マルホランド・ドライブ』・・・混乱と混沌の世の中。に、解説求む。

マルホランド・ドライブ『マルホランド・ドライブ』 デヴィッド・リンチ(2001)
2008年9月20日鑑賞


なぜだかこの作品を見る機会を逃し続け、やっとこ鑑賞。けれど、先に『インランド・エンパイア』を見てしまっていたが故に、衝撃度合いが緩和されてしまった。インランド・・・のほうが、わけのわからなさとか混乱度が強く、でもエンドロールがなんだか救いでとても好きだった。それとの比較なので、ちょっと自分の中での評価が低めになったのが残念。

だけどそれでも凄い。理解しきれない前半部から全てがつながる後半部、そういうことかーと自己流解釈をして、それで満足できず他人の解説を求めてしまう。リンチの映画は、私にとっては映画というより美術・芸術鑑賞に近い。それも痛々しく生々しい芸術作品。芸術方面には疎いので、美術館にいくと作者のバックグラウンドとか作品解説をじっくり読んでしまう。初見で感じることもあるが、じっくり読んで初めてわかることのほうが多い。たぶん、その時々の自分の持つ要素に近しいものを無意識に選び取って勝手に共鳴している部分は多大にあるだろう。リンチ映画はそれに近いのかな、と思う。その時々で感じ入るものが、たぶん異なる。

現実は悪夢だ、夢の中をさまよい、たどりついた先も悪夢だ。この混沌とした現実は、けれど悪夢だと思い込んでいるだけで、この混乱こそが真実でもある。まずは受け入れ、その上で何を選ぶか。後悔が悪夢を生むなら、後悔しないようあらゆる可能性を見つめるべきだ。だけど。激情に流されたナオミ・ワッツの行動を、ちっとも否定できない私もいる。それだってまた一つの、もしかしたら幸せな人生なんじゃないかな、という気もした。
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# by yebypawkawoo | 2008-09-24 22:28 | ◆映画のこと  

休日に仕事って、どうしてできないんでしょう。

土曜日にやっと着手した、水村美苗『本格小説』が面白すぎる。
まだまだ残りが長いのが嬉しいと思ったのは久しぶり。小躍りしたい気分。

そういえば最近は映画ばかりで、きちんと腰をすえた読書をしてませんでした。
といっても、電車の中とかお風呂の中とか片手間読書は日常なのだが。
軽いのばっか読んでる。そういえば映画も家でDVDばっか。

いかん、これではいかーん。
たいして格好よくはないけどまぁ暇だし誘われたし
とりあえずいっかでデートを繰り返しちゃってるような蟠り感。
それもまぁ楽しいけれど、それだけじゃ駄目駄目、そこで手を打っちゃ駄目~!

と何故だか焦って、目黒シネマの上映演目を調べる。
(目黒シネマは配給終了後の映画が二本立てでお安く見られる素晴らしい映画館です)
このタイミングで調べた私に拍手。
なんと見逃した『ラスト・コーション』と『つぐない』をやっているではないですか。
一もニもなく目黒に向かうに決まっております。

あぁ、やはり映画は映画館で見るものだ。
二作ともとても良く、特に『ラスト・コーション』は本当に素晴らしかった。
顔良く機転のきき趣味も合う男性とドキドキしながらお酒と食事を共にしたような充足感。
溜息でちゃうね。はぁ。

そして腹ごなしに夜中のスタバ。
最近お気に入りのシナモン(大量)入りアイスラテを消費中の私は、
土日にやるはずだった仕事にまったくもって手をつけていないことに気付く。

気付いた上でまぁ夜はまだあるしね、って本読もうとしてる。
こういう性質って学生時代から何一つ変わっていない。
ギリギリになるまでやらない。ギリギリになってもやらない。

明日の朝まで持ち越さないことを祈るのみ。
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# by yebypawkawoo | 2008-09-22 00:19 | ◆日々のこと  

『フェリスはある朝突然に』・・・アルフィーとかフルハウスとか、もう一回見たい!

フェリスはある朝突然に
『フェリスはある朝突然に』 ジョン・ヒューズ(1986)
2008年9月20日鑑賞


ちょっと前のアメリカドラマ、のノリで面白かった。主人公のフェリスが、作中カメラ目線で乗客に向けてのコメントを発したりする。そういうノリが、一昔前感があるのだけど、逆にそのわざとらしさが高感度。アルフィーとか、フルハウスとか、そういえばよく見ていたなぁ。そういう面白さ。

「人生は短い、楽しまなきゃ嘘だ」。
高校生の主人公フェリスが、天気の良い朝、学校なんて行ってられないとばかりに、両親をだまし校長をだまし、彼女と親友を連れだって町へ繰り出す一日を描いた作品だけど、フェリスの躊躇のなさが気持ちよく爽快。意外と感動シーンもあったりして。先にあげたドラマなら、ここでバックから「Ohoo~」なんつう観客のため息が聞こえてくるに違いない。あのわざとらしさが好きだったな。
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# by yebypawkawoo | 2008-09-21 12:08 | ◆映画のこと