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『美しい人』・・・9人の女性の人生を、一瞬盗み見るような。

美しい人 デラックス版『美しい人 9lives』 ロドリゴ・ガルシア(2005)
2008年5月27日鑑賞


9人の女性の人生の、ひと時を描いた作品。小説でいえば短編集。1話10分程度という短さから、彼女たちの抱える想いの背景や状況は、見る者が推し量るしかないのだけれど、しかし彼女たちはそれぞれ痛みを抱えていることはわかる。

私は、小説は短編集よりも長編のほうが好きだ。それはたぶん、長編のほうが作品のもつ世界観に浸れ、登場人物の状況もよく理解できるから。本にしても映画にしても、読んでいる観ている瞬間、別の次元に入っていける、そういうところが好きなのだ(だから本を読んでいるときに話しかけられても、生返事のことが多い)。そういう意味では、オムニバス形式の本作には、そこまで浸れなかった。どちらかというと、彼女たちの人生のひとときを盗み見たような印象。客観的第3者の立場から。そしてどこか、不完全燃焼感が残る。消化不良感というか。

だけど、いろいろな人生があり、みんな色々な想いを抱えて生きている。そういうことはうまく描かれているなと感じる。よくできたCMを見たような印象を持ちました(ほら、最近のCMってストーリー仕立てであることが多いじゃない?)。
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by yebypawkawoo | 2008-05-28 00:45 | ◆映画のこと  

『あの頃ペニーレインと』・・・音楽との出会いが、人生の救いになる瞬間ってあるよね

あの頃ペニー・レインと デラックス・ダブルフィーチャーズ『あの頃ペニーレインと』(Almost Famous) キャメロン・クロウ(2000)
2008年5月27日鑑賞


キャメロン・クロウ監督は音楽がすごーくいい。と思っていたら、彼15歳から音楽誌のライターをやっていたんですね。どうりで。この映画は、そんな彼の自伝的ともいえるお話。

ロック好きとしては、映画を見ながらうずうずしちゃう。主人公ウィリアム(パトリック・ジェット)が、伝説の音楽ライター・レスターと知り合いになるシーンから始まり、ロックバンド・Still Waterのメンバーに気に入られ楽屋裏に入れてもらうシーン、彼らの円陣に入れてもらったり、舞台袖でライブを見れたり。ウィリアムのわくわくが伝わってくる。異常に厳しく偏った考えの母親を持ち、それがゆえに姉は家出、自分は歳を偽られ・・・なんていう彼の境遇を思えばなおさらです。

思うに、どこか鬱屈された想いとか、ままならない環境とか、そういう感情があるからこそ、ウィリアムはこんな凄い体験ができたんでしょう。そういうある意味負の状況、感情って、行動の起爆剤になり得る。一方で、ウィリアムはどこまでいっても優しい。母親に対しても姉に対しても、バンドに対しても。自身の抱える負の境遇に押しつぶされてない。だから、見ているこっちもどこかやさしい気分になれる。

ロックが好きなら、それから幼い頃のあのトキメキとかワクワク感(大人になっちゃうと初めてのものが減るからか、なかなかもう味わえないよね)をもう一度感じたいなら、きっとこの映画楽しめると思う。
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by yebypawkawoo | 2008-05-27 17:42 | ◆映画のこと  

『悪い男』・・・ああ、こういう純愛もあるのだなぁ。

悪い男『悪い男』 キム・ギドク(2001)
2008年5月24日鑑賞


これは、チェ・ジョソン演じるハンギの愛の形を表現した映画。凄いと思った。今までこういう形の表現は見たことがないと思った。

本国、韓国では女性蔑視との見方から物議をかもしたらしい。
たしかに、何の罪もない女子大生ソ・ウォン演じるソナを気に入ったハンギは、彼女を手に入れるため彼女をオトシ、何人もの男に抱かれる様をマジックミラー越しにひたすら眺め続ける。ただの純粋な女子大生だったはずのソナは、なぜ自分がこんな目に合うのか理解できないまま、流されて娼婦業を続けるわけだが、ある日あるきっかけでハンギにはめられたのだと気づく。普通だったら、恨みむし、憎みますよね、ハンギのこと。もちろん、ソナも最初は憎んでた。けれど、だんだん気になり始める。というか、心の中に居座ってる、ハンギが。
一番最後のシーン、こういう二人の愛の形の結実は、ここに向かったのかと思った。普通なら、ホントに最低最悪、どうしようもないと思うはずなのだけど、ここに至るまでのハンギの想いと、ソナの心の移ろいをみていると、どうしようもなく美しく感じてしまう。

たぶん、理解できない人にはなぜソナがハンギを受け入れたのか全くわからないと思う。だけど、そういう願望ってたぶん私もどこかに持ってる。破滅願望というか。ある意味、DVを受ける妻とか、ホストにはまる女性、に通じるところがあるかもしれない。ハンギはただ純粋にソナを愛したのだし、ただこの方法しかわからなかっただけ。ソナは、その世界にあって、正常な判断が下せなくなっている、その中で同じくハンギを愛す。けれど、正常な判断って何?多かれ少なかれ人間は自分の作り出した、あるいは周りに作られた世界で生きている。その個々の“異常な”世界の中で判断し、選択している。そこには意識的か無意識的かにかかわらず、なにか理由が存在していて(そう、ハンギがソナを愛したのにだって理由がある)、それを本人がわかっていてそのうえで判断した行動であれば、本人が納得し幸せだと感じるのならば、誰にもそれを否定することなんてできない。

私は、すごく純粋で美しいと思った。ひどく悲しく切なくなった。彼らの愛が、どこか少しうらやましくもあった。
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by yebypawkawoo | 2008-05-25 09:39 | ◆映画のこと  

『モナリザ』・・・主人公の性格が、う~ん。

モナリザ『モナリザ』 ニール・ジョーダン(1986)
2008年5月17日鑑賞


いい映画、と友人にお勧めされて鑑賞。期待しすぎたか?
そこまですごい!という感動はなかった。

主人公はなんだか冴えない(というかダサい)中年男役、ボブ・ホスキンス。世渡り下手そう。7年の刑期を終えて出所して会いに行った娘のところで、案の定元妻に追い返される。怒声とともに。それに怒ったブ・ホスキンス、近所迷惑も顧みず、悪態つきまくり、ごみ箱けとばす、集まってきた見物人に怒鳴り散らし、胸倉つかみ・・・というところから映画は始まる。ちょっとこの時点で、私には合わないなぁと。なんかアメリカっぽい(いや、舞台はイギリスだけど)この感じ、自分の感情を隠すことなく露骨に出しちゃう、で全然悪いと思ってない。そういう人物像って、わたしあんまり受け付けないんです。嫌~な気持ちになる。

話は、そんな彼が、黒人娼婦のドライバーの職を得、最初は悪態つきあってる二人なのだけど、だんだん彼女のことが好きになり、彼女を救うために色々と危険を顧みず頑張るのだけど、実は彼女は・・という、切なくも一途なラヴ・ストーリー。

のはずだったのだけど。主人公の粗野な感じ、というか、自分勝手きまわりない感じにどうしても感情移入できず、最終的な結果に対してもなんの感慨も感じなかったわたしなのでした。
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by yebypawkawoo | 2008-05-19 21:33 | ◆映画のこと  

『輝ける女たち』・・・雑然としていて恋愛まみれ、でもいい。

『輝ける女たち』 ティエリー・クリファ(2006)
2008年5月17日鑑賞

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雑然としている。けれど、私はけっこう雑然系映画好きなので、うん、割と面白かった。

登場人物の関係が複雑で、最初は非常にわかりにくい。見ているうちになんとなく、わかってくる。そういう雑然さ。あくまでイメージだけど、フランス映画ってそのあたりの説明を省略したものが多い気がするなあ、あくまで、イメージ。行間読んどいて、みたいな。そういうの、割と嫌いじゃないんです。

フランスの女性は美しいなぁ、て思ったのが第2の感想。カトリーヌ・ドヌーブも、エマニュエル・べアールもなかなかにいいお歳なのにそりゃあもう美しいです。そして、クラブ「青いオウム」を舞台とした物語なのだけど、そのショーのオープニングを飾る、オウムを形どった上半身裸の女性たちが美しかった。話の内容、というよりも雰囲気とか映像(もちろん、女性の美しさ含む)が、良かった感。

それにしても、フランスだからなのか、この複雑な男女関係、恋愛関係。割とぽぽんと好きになったり、関係持てたり、やっぱり戻ってみたり、っていう感覚は、うーん。私そういうの、否定はしないのだけど、皆が皆そうだとちょっと、おいおいフランス人~!?なんて思っちゃったりもします。宣伝なんかでは「家族の再生」をテーマにした作品のように書かれているけれど、やっぱりこれは恋愛の映画だと思う。
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by yebypawkawoo | 2008-05-19 21:19 | ◆映画のこと  

『赤と黒』・・・その自尊心ゆえ、損をしたのだとしても、美しく潔くかっこいいのだ

赤と黒 (上) (新潮文庫)『赤と黒』 スタンダール(新潮文庫)
2008年5月16日読了


あぁ、やっと読了。途中、つまづきかけるも、下巻の中盤からは一気に読めた。

時代背景やなんかが良く分からないため、この小説の世界(というよりも、19世紀フランスの世界観かな)に入り込むまでに、時間がかかるんだけど、いったん入ってしまえばやはり名作、面白い。特に、主人公ジュリヤンの自尊心の高さ、生き様は、結構すごい。興味深い。格好いい。基本、自分本位なんだけど、そうそう、こういう人のこと女の人って好きになるよね、うんうん。という感じ(まぁ人によるんだろうけれど、私は結構このタイプの人って惹かれるなぁ)。これだけ一人の男を愛することができれば、レーナル婦人もマチルドも、幸せだろう。辛いんだけどそれが幸せ、ってあるよね。

そして、物語の終盤、死刑を宣告されそうになり死を目前としてからのジュリヤンの自問自答、あくまでも、どこまでいっても強い自尊心と、それを元とした強い考え方なんかは、すんばらしいと思った。共感、というか憧れ、というか格好いい(あくまで、私にとっては、だが)。
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―このように自分を抑えることのできる人間は、si fata sinant(もし運命が許すならば)もっとえらくなれる。

―精神に毒をもられたあとでは、肉体的な療法や、シャンパン酒が必要である。だが、ジュリヤンは、そういうものの助けをかりたら、卑怯になると思った。

―おれは義務という、強力な観念をもっていた。正しいにせよ正しくないにせよ、俺が自分に課していた義務は、……たくましい木の幹のようなもので、おれは嵐のあいだはこれにしがみついていた。おれはぐらつきもした。ゆり動かされもした。要するに俺もただの人間だった。……だが、吹き飛ばされたりはしなかった。

―わたしが自分を軽蔑するようになったら、何が残るんです?

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わたしも、気高く生きたいもんです。少なくとも、自分に恥ずかしい生き方はしたくない。ちょっと、ジュリヤンの生き様を見て(読んで)、私は勇気付けられた。結局、自分の認識の問題なのかもしれないな、って。
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by yebypawkawoo | 2008-05-16 23:00 | ◆本のこと  

『小説家を見つけたら』・・・小説好きならきっと面白い

小説家を見つけたら『小説家を見つけたら』 ガス・ヴァン・サント(2000)
2008年5月16日鑑賞


よいお話でした。派手ではないし、どこか突出しているわけでもないけれど、じんわりとよい作品。わたしは、同監督作品『グッド・ウィル・ハンティング』よりもこちらのほうが好きだった(まぁ、見たのは結構前なので、再度見てみたらどうかわからないけれど)。

主人公は、黒人でブロンクス育ちのジャマール。もともと素人だったロブ・ブラウンが演じています。この監督は、無名の素人のかわいい素敵な男の子を発掘するのがうまいんだとか。で、小説家フォレスターを演じているのがショーン・コネリー。この二人の間に育っていく友情を、ブロンクスという環境、白人・黒人間の差別問題、家族の問題、なんかを背景に、描いていきます。このあたりの背景の説明はほとんど入っていないので、アメリカ社会の予備知識がなかった場合、ちょっと理解しにくかったりするのかもなぁと思いました。他国の作品に比べてそのあたらいが割りとすんなり理解できるのは、やっぱり米社会の文化って結構浸透してるのかな(私の場合)、ということ。まぁ、文学にしても映画にしても、結構触れる機会が多かったし、な。比較論としてですが。

私は小説が好きなので、ほうほうってな感じで見てました。ジャマールのような文才が私にもあったらなぁ。。。エンドロールの音楽と映像が、素敵でした。
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by yebypawkawoo | 2008-05-16 11:01 | ◆映画のこと  

『不完全なふたり』・・・夫婦のより良いあり方は、まだ私にはわからない。

不完全なふたり『不完全なふたり』 諏訪敦彦(2005)
2008年5月15日鑑賞


何か、ひどく悲しく苦しい映画だった。
15年連れ添った夫婦、離婚の話も持ち上がり、でも本当に別れていいの?別れたいの?それが本人たちにもわからない。その中で静かにののしりあい、静かに喧嘩をし、最終的には・・・という話。

長く一緒にいると、どうしたってこういう風になってしまうのでしょうか?お互いが互いをよく知っている(あるいはそう過信している)がゆえに、本当の本音をさらけ出せず、意地の張り合いのようになっている部分もあり、ひねくれてしまう心もあり。すごく痛かった、私には。どうしてわかってくれないの?察してくれないの、気づいてほしい、本当は違う、でもうまくいえない、そういう妻マリーの心が見えるようだった。

ひどく現実的、でも私は長く一緒にいたってこういう風にはなりたくない、そう感じてしまった。もっと、気持ちのよい素敵な夫婦のあり方ってないのだろうか?

映画自体は、とてもとても静か。余計な音楽がない。映像の動きもない。静止した画面、音。室内描写の暗い画面が多い。それゆえ、その静かさゆえ、癖のある映画だと思う。けれど、私は何かしら心惹かれるもののある映画だった。
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by yebypawkawoo | 2008-05-15 09:57 | ◆映画のこと  

『クローサー』・・・一瞬にして愛が覚める瞬間に、納得

クローサー『クローサー』 マイク・ニコルズ(2004)
2008年5月13日鑑賞
(ややネタばれ有)

ナタリー・ポートマン見たさに鑑賞。
この映画を見て恋愛が怖くなった、と言った人もいたというが。

私は、あんまり現実的に感じられなかった。と言うのも、ジュリア・ロバーツ演じるアンナに、どうも共感できなかったから。恋人のいる人(ジュード・ロウ演じるダン)に惹かれるのはわかる。が、その彼ダンとの関係を隠して別の男性(クライヴ・オーウェン演じるラリー)と結婚し(←この時点で私には理解しがたい)、さらにやっぱりダンが好きだからと離婚届を持っていったラリーに迫られセックスしてしまい(←まぁこれはわからんでもない)、それが元でダンと別れることになったからといって、ラリーと元鞘(←これは完全に理解不能)・・・。なんか節操なさ過ぎませんか??うーん、というか私の場合、一度恋愛感情を持った後それがなくなった人に対して、再度恋愛感情を持つ、ということが経験ないので、理解ができなかったんです。

一方、ナタリー・ポートマン演じるアリス、には共感できたなぁ。最後のセリフ、"I don't love you anymore" が印象的。そう、一瞬で恋が冷める瞬間ってありますよね。でも、これはジュード・ロウが悪い。完全にそうだと思う。はっきりしろよーと。

まぁ、恋愛において、男性はトランプを横に並べ(=過去の女性を忘れずにいつでも見ている)、女性は縦に重ねる(=過去はすぐに忘れてしまい、現在しか見えない)なんてよく言いますが、それがよく現れた映画だなぁと思う。実際に、その傾向ってあるんだろうな、なんせそれをこの映画も物語ってますもんね。
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by yebypawkawoo | 2008-05-13 22:13 | ◆映画のこと  

『ニシノユキヒコの恋と冒険』・・・客観的視点を持てる女性は素敵だと思う。

『ニシノユキヒコの恋と冒険』 川上弘美(新潮文庫)
2008年5月12日読了

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)

何度目かの読了。
久しぶりに読んだが、前回、前々回読んだときよりも面白く感じた。川上弘美の本は読みやすく、さらりとしていて、ふわりとしていて、でも何かが抉られる、そういう印象がある。

本作は、西野幸彦、という男性の恋にまつわる生涯を、いろんな女性の視点から描いたもの。この女性たちがいいんだよね。もう、こういう人たちを選んでいる時点で、西野幸彦やるな、と思う。女性たちは、どこか覚めた印象。というか。自分を、あるいは好きになった男、西野幸彦を、少しななめから見ている感じがする。彼にはまっている自分を、「あぁ私はまってるな」と客観視してしまうというか。それかあるいは、はまらないように敢えて距離をとろうとしている。そこが、悲しい。けれど、わかる。すごくわかる。

それはイコール、作者、川上弘美なのかもしれない。彼女もやっぱり、どこか自分を客観視して第3者的に面白がっているんだろうな、という気がする。『東京日記』の日記も、なんだかそんな感じ。

それはそうと、川上弘美の書く小説(あるいはエッセイ)を読むと、いつだってお腹がすきます、わたしは。ご飯がおいしそうなの、ビールが飲みたくなるの。日本酒でもいいけれど。おいしいものを食べて、しっかり地に足つけて、でもどこか面白がりながら、自分の変梃りんな人生をおちょくりながら、ふふふと生きていきましょう、そんな気になる。
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by yebypawkawoo | 2008-05-13 16:42 | ◆本のこと