『フルメタル・ジャケット』・・・狂気の描き方が、秀逸すぎる

フルメタル・ジャケット『フルメタル・ジャケット』 スタンリー・キューブリック(1987)
2008年9月13日鑑賞


TSUTAYAって、1か月に2回くらいは、半額セールをやってくれるもんだから、ついつい映画を借りてしまう。安さにかまけて、いっぱい借りてしまう。見きれなくなって、延滞料金払うはめになる。結局高くついてるやん、っていう、これを何回繰り返せば、私は気が済むんでしょうね。

でも、この映画は延滞料金払う価値、全然あるね。キューブリックってば、やっぱり凄いんだなぁ。なんて、プロの歌手に歌うまいんですね、っていっちゃうようなもんだけど。

何が凄いって、前半部分があまりに秀逸。海兵隊の訓練の様を描いた前半部の中で出てくる教官のえげつない罵り言葉と、それからランニング時の歌の陽気さとお下品な歌詞のギャップ。狂気が、訓練生たちを(とくに“ほほえみデブ”を)むしばんでいく様は、圧巻。だってさ、最初と最後で彼らの表情がもう明らかに違う、これって演技だけじゃない気がする。役を超えた狂気に演者が取り込まれてる。こんな風に役者を取りこんじゃう凄さが、キューブリックなんだと思う。

彼らがベトナム戦争に参戦してからの後半部は、最後のミッキーマウスマーチでもって完成されてる。ミッキーマウスマーチだよ?なんつう皮肉ですか。そのセンスが凄い。

戦争もの映画って、その戦争の背景それ自体や、複雑な世界情勢や、それに翻弄される市井の人々や、そういうものを描いて、あなたはどう考える?これを知って何をするの?ていうような暗に何かを訴えかけようとしてくるものが多いけれど、この映画に限ってはもっと、普遍的で本質的な人間性そのもの、もっと根柢の部分を描いてるように思う。だから、この映画が扱っているテーマは、アメリカ海軍とか戦時下のベトナムだけじゃなくて、今の日本にだって当てはまるんじゃないかと思うのでした。
[PR]

by yebypawkawoo | 2008-09-14 22:48 | ◆映画のこと  

<< 『フレンチなしあわせのみつけ方... 相変わらず、耳が聞こえないこと。 >>