『悪い男』・・・ああ、こういう純愛もあるのだなぁ。

悪い男『悪い男』 キム・ギドク(2001)
2008年5月24日鑑賞


これは、チェ・ジョソン演じるハンギの愛の形を表現した映画。凄いと思った。今までこういう形の表現は見たことがないと思った。

本国、韓国では女性蔑視との見方から物議をかもしたらしい。
たしかに、何の罪もない女子大生ソ・ウォン演じるソナを気に入ったハンギは、彼女を手に入れるため彼女をオトシ、何人もの男に抱かれる様をマジックミラー越しにひたすら眺め続ける。ただの純粋な女子大生だったはずのソナは、なぜ自分がこんな目に合うのか理解できないまま、流されて娼婦業を続けるわけだが、ある日あるきっかけでハンギにはめられたのだと気づく。普通だったら、恨みむし、憎みますよね、ハンギのこと。もちろん、ソナも最初は憎んでた。けれど、だんだん気になり始める。というか、心の中に居座ってる、ハンギが。
一番最後のシーン、こういう二人の愛の形の結実は、ここに向かったのかと思った。普通なら、ホントに最低最悪、どうしようもないと思うはずなのだけど、ここに至るまでのハンギの想いと、ソナの心の移ろいをみていると、どうしようもなく美しく感じてしまう。

たぶん、理解できない人にはなぜソナがハンギを受け入れたのか全くわからないと思う。だけど、そういう願望ってたぶん私もどこかに持ってる。破滅願望というか。ある意味、DVを受ける妻とか、ホストにはまる女性、に通じるところがあるかもしれない。ハンギはただ純粋にソナを愛したのだし、ただこの方法しかわからなかっただけ。ソナは、その世界にあって、正常な判断が下せなくなっている、その中で同じくハンギを愛す。けれど、正常な判断って何?多かれ少なかれ人間は自分の作り出した、あるいは周りに作られた世界で生きている。その個々の“異常な”世界の中で判断し、選択している。そこには意識的か無意識的かにかかわらず、なにか理由が存在していて(そう、ハンギがソナを愛したのにだって理由がある)、それを本人がわかっていてそのうえで判断した行動であれば、本人が納得し幸せだと感じるのならば、誰にもそれを否定することなんてできない。

私は、すごく純粋で美しいと思った。ひどく悲しく切なくなった。彼らの愛が、どこか少しうらやましくもあった。
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by yebypawkawoo | 2008-05-25 09:39 | ◆映画のこと  

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