『天国の口、終りの楽園』・・・旅に出たくなった。

『天国の口、終りの楽園』 アルフォンソ・キュアロン(2001)
2008年4月14日鑑賞
(ややネタばれ有)
天国の口、終りの楽園。

旅に出たくなった。
旅に出たとき特有の、あの雰囲気。
どこか非現実なようでいて、その中で自分の日常を振り返ってしまう。
客観的に見えてくるものがある。あの雰囲気。

メキシコの風景が作られていなくて、とても自然にある。
その中を旅する、ガエル演じるフリオと、ディエゴ・ルナ演じるテノッチの二人の少年。
そして、そこに加わる人妻、マリベル・ベルドィー演じるルイサ。

二人の少年は、若いころ特有の、めちゃくちゃ感にあふれている。何かよくわからないまま、ままよ、とやってしまうあの感じ。実はまだ世の中のことも何もわかってなくて、でも自分の限られた認識の中で精いっぱい生きているあの感じ。今にして振り返ると、若かったなあって思ってしまう、あの感じ。

そして、ルイサ。ルイサの抱える切なさ。彼女の、その抱える切なさや孤独ゆえの、明るさ。ものすごい吹っ切れ感。これは一体何だろう?と思っていると、最後に納得する。少年達もきっと感じたであろう、やりきれなさというか言葉に尽くせない感じ。彼女への想い。それを私も同時に味わった。そして、もう一度見たくなった。彼女の視点で、この旅を。

政治とか、生活落差とか、経済とか、そういう社会的問題が自然な形で入ってきている。セックスとか、恋愛とか、若さとか、そういうものも。その描写の仕方が、現実を感じさせる。自然体なの、すごく。だから、すんなり入れる。彼らの、彼女の視点で一緒に旅してしまう。

しかし、映画の最後に、旅に出た時のあの非日常感は、けれど現実との対比の中での特別なんだ、と気づく。旅から戻った少年二人は、旅行中の出来事が関係しているのだろう、いつの間にか疎遠になり、現実の現実的な生活を送り始めるし、ルイサの旅は、死を直後に控えていたが故の、現実をはじきだすための旅だった。

旅に出たくなった。
現実を離れ、非日常に埋もれ、すべてが鮮やかで新しく何をしてもいい気がしてくる、何でもできる気がしてくる、そういう旅。けれどやっぱり、それは現実との対比でしかなく、現実を生きることが一番重要なのかもしれない。
それでも。そういう思い出があるからこそ、人生は楽しく苦く鮮やかなんだ、そう思うんです。
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by yebypawkawoo | 2008-04-14 17:02 | ◆映画のこと  

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