『きいろいゾウ』・・・すれ違いをいかに受け入れるか

『きいろいゾウ』 西加奈子(小学館文庫)
2008年3月29日読了

きいろいゾウ (小学館文庫 に 17-3)

西加奈子の本を読むのは3冊目である。著者が会社の先輩の同級生だったらしい。そのつながりで薦められ、なんとなく手に取って読み始めた。1冊目『さくら』、2冊目『あおい』についで、3冊目『きいろいゾウ』。その中では、本作が一番面白かったように思う。

いや、というよりも、私はこの話結構好きです、と言い切ってしまおう。

話は、田舎に住み始めたひと組の夫婦を軸に進んでいく。妻の視点から見た生活、夫の視点からみた生活、が交互にあらわれ、交差していく。お互いをとても大切にしあい、愛し合っている夫婦なのだけど、見ているものや感じていることがちょっとずつ違う。それが夫婦それぞれの視点で描かれる生活によって読み手に対して明らかになる。その違いに蓋をして、あえて触れないようにしていたために、少しずつずれていく互いの気持ち。考え。

こういうことって、割と日常にあふれている。そこまで親しくない人だったら、それでもまぁ問題にはなりにくいのだけど、恋人同士、夫婦同士となると話が違ってくる。
私は割と本作の主人公、ツマと同様に、感じていることや言いたいことをあえてスル―させて蓋をしがちだったりする。たぶん、そういうところが非常に理解できたからこそ、随所随所で語られるツマの言葉に共感したし、この話が好きだと思ったのだろう。

でも、夫婦っていっても恋人っていっても、所詮は他人同士。見てるものも違えば考えることが違うのは当たり前。どこまで自分をさらけ出すのかとか、そういう問題は本当に難しい。私は、すべてをさらけ出してはいけないと思う。お互い他人であるということを忘れてしまってはいけないと思う。絶対に。そこを意識するからこそ、言葉で伝えあうことは、とても大切だとは思うのだけど。

なんにせよ、この本、話のテンポがよく、すらすらっと読める。
随所に現れる関西弁も、西日本出身の私としては違和感なし。
ベタではあるけれど、随意随所で現れる言葉にハッとすることも何度か。
評価は人によって割れるだろうな、とは思うけれど、私には面白い作品だった。
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by yebypawkawoo | 2008-03-30 16:34 | ◆本のこと  

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